結論
夜間巡回・警備にロボットを使うなら、候補の中心は四足歩行ロボットです。階段や屋外を含む経路を歩き、カメラや LiDAR(レーザーで周りの物との距離を測るセンサー)で記録できるからです。この記事を読むと、次の4つを判断できます。
- 経路の条件(段差・屋外・雨)から、脚だけの機種と車輪付きのどちらを選ぶか
- 一晩の巡回に必要な稼働時間と、充電・バッテリー交換の回し方
- ロボットに任せる仕事と、警備員が持ち続ける仕事の分け方
- 導入前に決めておくネットワークの分け方
なぜ四足歩行が中心になるのか
警備の現場では、警備員の高齢化と採用難で夜間の体制を保ちにくい、広い敷地や複数の棟を回るのに時間がかかる、異常の一次確認に人を向かわせるリスクがある、という課題が重なっています(警備の業界ページ)。
四足歩行ロボットはヒューマノイドに比べて歩行が安定し、稼働時間が長く、価格も抑えられるため、「歩き回って見る・記録する」仕事で先に選ばれています(四足歩行ロボットとは)。
なお、当サイトの図鑑に収録している四足歩行ロボットは、2026年10月時点で Unitree 製だけです。他社の機種を検討するときも、この記事の表と同じ項目(防塵・防水、稼働時間、段差)で見積もりを並べてください。
脚だけか、車輪付きか
| 経路の条件 | 向く機種 | 理由 |
|---|---|---|
| 階段・段差・屋外の不整地が多い | 脚だけの機種(Go2・As2・A2・B2) | 段差や不整地を脚で越えられる |
| 平坦な床が長く続く(商業施設・倉庫・駐車場) | 車輪付き(Go2-W・As2-W・B2-W) | 平坦な場所は車輪で速く長く走り、段差は脚で越える |
車輪付きは航続距離で差が出ます。メーカーの公表では、As2-W は無負荷で約30km、B2-W は40kg を積んで最大25km・無負荷で約30km です。オフィスビルや商業施設の館内巡回は、不動産・施設管理の業界ページも参考にしてください。
主な機種の比較(図鑑の数値)
| 機種 | 重さ | 稼働時間 | 防塵・防水 | 段差・階段 | 公式価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| Go2 | 約15kg | AIR・PRO・X 約1〜2時間/EDU 約2〜4時間 | 公表なし | 乗り越え高さ AIR 約15cm・PRO 以上 約16cm | AIR 1,600ドル〜 |
| As2 | 約20kg | AIR 約2時間・約10km/PRO 以上 約4時間・約20km | PRO・X・EDU IP54(AIR は公表なし) | 段差 AIR 20cm・PRO 以上 25cm | 要問い合わせ |
| A2 | 約42kg | 無負荷で5時間超・約20km | A2 IP56/A2-PRO IP56〜IP67(主要部品は IP67) | 段差 30cm | 要問い合わせ |
| B2 | 約60kg | 4〜6時間 | IP67 | 20〜25cm の階段を連続昇降 | 表示なし(見積もり) |
| Go2-W | 約18kg | 1.5〜3時間 | 公表なし | 乗り越え高さ 70cm 未満 | 表示なし(見積もり) |
| As2-W | 約25kg | 無負荷で約3時間・約30km | IP54(X・EDU) | 段差 30cm | 要問い合わせ |
| B2-W | 約85kg | 40kg 積載で最大25km、無負荷で約30km(時間は公表なし) | IP67 | 20〜25cm の階段を連続昇降 | 表示なし(見積もり) |
重さはバッテリー込み、価格は税・送料別のメーカー公式の表示です。As2・As2-W・A2 は、公式ページの中で数値や構成の記載が食い違う箇所があると図鑑で注記しているため、見積もりの際に確かめてください。
現場の条件で絞る
雨と屋外:IP 等級を見る
IP 等級は、ほこりと水への強さを示す表示です。屋外の外周や駐車場を回るなら、等級を公表している B2・B2-W・A2・As2(PRO 以上)・As2-W から選びます。Go2 と Go2-W は等級が公表されていないので、屋内の乾いた経路に向きます。
暗さ:カメラだけに頼らない
LiDAR は自分で光を出して距離を測るため、暗い場所でも経路をたどる助けになります。一方、ふつうのカメラの映像は照明の条件で見え方が変わります。暗い場所の異常を映像で残したいなら、経路の照明を一部残すか、サーマルカメラ(温度を映すカメラ)などを載せる構成を販売会社に相談します。図鑑の各機種のセンサーの記載は LiDAR とカメラが中心なので、追加のセンサーを載せるなら、可搬重量と稼働時間への影響もあわせて確認します。
扉・エレベーター・ゲート
経路に扉やエレベーター、入館ゲートがある場合、ロボットがそこをどう通るか(開けておく、人が手伝う、経路から外す)を先に決めます。決めないまま始めると、巡回が途中で止まる原因になります。
稼働時間と充電の回し方
- 巡回1周の時間と、一晩に回る回数から、必要な稼働時間を出します。
- 機種の稼働時間と比べます。メーカーの公表値は目安で、歩く距離・積む重さ・気温で短くなります。
- 足りない分は、巡回の合間に充電する時間を組むか、予備バッテリーを交換する手順を作ります。Go2 の AIR・PRO・X は約1〜2時間なので、長い巡回には EDU(15,000mAh)か予備バッテリーの運用が要ります。
- 自分で充電台に戻る機能(自動充電)は図鑑の四足歩行の仕様に記載がないため、対応の有無と費用を見積もりの際に確かめます。
警備員との役割分担
| ロボットに任せる | 警備員が持ち続ける |
|---|---|
| 決まった経路の定時巡回と記録 | 記録の確認と、異常かどうかの判断 |
| 不審物・侵入の一次確認(映像を送る) | 現場への駆けつけ、通報、来訪者への対応 |
| 設備室の温度・異音の記録 | ロボットが止まったときの回収と再起動 |
判断と対応の責任は人に残ります。効果は、巡回の回数が増えたか、人が危ない場所に最初に行かずに済んだかで測ります。B2(約60kg)・B2-W(約85kg)のような重い機体を人の近くで動かすなら、安全対策とリスクアセスメント(危険の洗い出しと対策の評価)も先に決めます。
セキュリティ:ネットワークを分ける
巡回ロボットは施設の中を撮影して回るため、映像や位置の情報が外に漏れないことが前提です。2025年9月には Go2・B2 などが影響を受ける Bluetooth 経由の設定機能の問題(通称 UniPwn)が、2026年2月には Go2 のファームウェアと Android アプリの組み合わせの問題(JVNDB-2026-007244)が公表されています。
- ロボット専用の無線とネットワークを用意し、社内の業務システムとつながない
- ファームウェアを最新にし、更新の案内を受ける窓口を決める
- 使わない Bluetooth・クラウド・遠隔操作の機能を止める
- 操作用のスマートフォンやタブレットも管理の対象にする
詳しくはセキュリティ・ガバナンスガイドにまとめています。
導入の進め方
まず経路を1本に絞り、期間を決めて試験導入します。測るのは、巡回の完了率、人が手を出した回数、稼働時間、記録の見やすさです。合格の基準は始める前に決めます(導入の8ステップ、PoC 止まりの5つの型)。
警備業務のロボット化は、中小企業省力化投資補助金(一般型)の趣旨に沿いますが、対象になるかは事業計画と公募要領しだいです(補助金ガイド)。
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自社の経路にどの機種が合うか迷ったら、3分の導入適性診断で条件を整理するか、導入相談で経路の段差・屋外の有無・巡回の時間帯を伝えてください。


