結論
ロボットを買う前に実機で確かめる方法は、短期レンタル、PoC(本格導入の前に自社の現場で試す試験導入)、リースの3つです。どれを選ぶかは「何を確かめたいか」で決まります。
- 展示会・イベント・社内デモで見せたい → 短期レンタル
- 自社の作業で使えるかを数字で確かめたい → PoC(期間は3か月程度が目安)
- 使い方が決まり、支払いを月々にならしたい → リース(または購入)
PoC が成果につながるかどうかは、始める前に「測る項目」と「合格の基準」を決めたかでほぼ決まります。
3つの方法の違い
| 短期レンタル | PoC(試験導入) | リース | |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 展示・PR・社内デモ | 自社の作業で使えるかの評価 | 本導入の支払い方法 |
| 期間 | イベントの日程に合わせる | 3か月程度が目安 | 契約で決めた期間 |
| 手元に残るもの | 来場者・社内の反応 | 評価の数字と本導入の判断材料 | 機体を使い続ける権利(所有者はリース会社) |
| 向く段階 | 用途がまだ固まっていない | 用途と候補機種が決まった | 本導入を決めた |
短期レンタル:展示会・社内デモ・PR
借りる前に、次の5点を確認します。
- 操作する人: 機体だけを借りるのか、操作・設営の担当者も付くのか。
- 稼働時間: メーカー公表の目安は、Unitree G1 が約2時間、R1 が約1時間、四足歩行の Go2(AIR・PRO・X)が約1〜2時間です。終日のデモでは、予備バッテリーか複数台での交代を計画に入れます。
- 会場のルール: 動かす範囲、来場者との距離、通路、電源、無線の使用を、展示会の主催者・会場の管理者に事前に確認します。
- 電波法(技適): Wi-Fi・Bluetooth を使う機体は、技適マーク(電波法の基準に合っていることを示す印)があるかを確認します。2026年10月16日時点で、Unitree の G1、R1 系、H2 系、G1-D は総務省の検索システムに登録がありました。
- 壊れたときの負担: 転倒・落下・来場者との接触で壊れたときに誰が費用を持つか、保険が付くかを契約で確かめます。
社内デモは、経営層と現場の受け止め方を知る機会でもあります。2026年時点のヒューマノイドは「決まった作業を、決まった場所で、人が見守りながら」行う段階です。そのことをデモの説明に入れておくと、後の PoC で期待とのずれが起きにくくなります。
PoC の設計:目的・KPI・期間・体制・評価
1. 目的を一つに絞る
「どの作業の、どの部分を任せるか」を一つに決めます。複数の作業を同時に試すと、うまくいかなかった原因が分からなくなります。
2. KPI(評価の指標)と合格の基準を先に決める
| KPI | 測り方 |
|---|---|
| 作業の成功率 | 試した回数のうち、人の手直しなしで終わった割合 |
| 1回あたりの時間 | 人が同じ作業をした時間と並べて記録する |
| 停止・人の介入の回数 | 1日あたりで数える |
| 稼働時間 | 充電・交換を除いた、1日に実際に動けた時間 |
| 現場の受け止め方 | 作業者への聞き取り(続けて使いたいか、負担は増えたか) |
基準は「成功率が◯%以上なら本導入を検討する」のように、数字で書いておきます。
3. 期間と体制
- 期間は3か月程度が目安です。初めのうちは設定と動きの調整に時間を使うことが多いので、評価に使える期間を逆算します。
- 体制は、現場の担当者1〜2名と、動きを調整する技術者1名が一般的です。自社に技術者がいなければ、開発支援を頼める販売会社を選びます。
- 標準モデルでは自社でプログラムを書けない機種があります。たとえば Unitree G1 で二次開発(自社でプログラムを書いて動きを作ること)に対応するのは EDU 版だけです。PoC で動きを作り込むなら、二次開発に対応したモデルを借りられるかを確認します。
4. 安全とセキュリティ
- リスクアセスメント(危険の洗い出しと評価)を PoC の計画に含めます。考え方は安全基準・法規制・保険のガイドにまとめています。
- ロボットは、社内の業務ネットワークから分けた専用のネットワークにつなぎます。詳しくはセキュリティ・ガバナンスガイドで説明しています。
5. 評価と次の判断
PoC の終わりに、次の3点で本導入に進むかを判断します。
- 始める前に決めた基準を満たしたか
- 現場の作業者が、運用を続けられると感じているか
- 保守とセキュリティの体制が整ったか
満たさなかった場合も、「どの条件なら使えたか」を記録しておくと、作業や機種を変えた次の PoC に生かせます。PoC で止まる典型は失敗事例と落とし穴で整理しています。
リースと購入の違い
| リース | 購入 | |
|---|---|---|
| 支払い | 月々の支払い | 一括(または分割) |
| 所有者 | リース会社 | 自社 |
| 途中でやめる場合 | 中途解約の条件を契約で確認する | 売却・転用は自社で判断する |
| 保守 | 契約に含まれるかを確認する | 保守契約を別に結ぶ |
| 補助金 | 使えるかは公募要領で確認する | 使えるかは公募要領で確認する。交付決定の前に発注しない |
ロボットは機種の入れ替わりが速い分野です。たとえば G1 の後継にあたる G1+ は、2026年10月13日に国内で先行予約の受け付けが始まりました。リースの期間中に機種が古くなる可能性も含めて比べます。費用の全体像は費用・価格ガイド、補助金は補助金ガイドを参照してください。
見積もりで確認すること
- レンタル・PoC の料金に含まれる範囲(機体、送料、設営、操作担当者、開発支援、評価レポート)
- 標準モデルか二次開発対応モデルか、ハンドなどのオプションの有無
- 破損・故障したときの負担と保険
- 期間の延長、途中での終了、PoC の後に購入へ切り替える場合の扱い
- 返却するときのデータの消去(地図・映像・ログ)
- 納期(取り寄せで2〜3か月と表示する販売店が複数あります)
国内の相談窓口
- GMO AI&ロボティクス商事: 2026年6月19日に Unitree と国内正規代理店契約を結びました。レンタル・リースでの提供を案内しています。
- TechShare: 2020年から Unitree の国内正規代理店です。教育機関向けは同社が独占販売権を持ちます。
- Tohasen Robotics: 「Unitree開発パートナー」として通販サイトで H2・R1・G1 などを販売しています。
- GA Robotics: UBTECH の日本正規代理店です。Walker S2 は本体価格・PoC 費用・保守費用を非公開とし、PoC と保守を含めて個別に見積もります。
TechShare と Tohasen Robotics のレンタルの扱いは、各社に確認してください。同じメーカーを複数の販売会社が扱っている場合は、見積もりに含まれる範囲を揃えて比べます。窓口ごとの違いは国内購入・サポート体制ガイドにまとめています。
関連ページ
展示会・社内デモ・PoC で、まず短期間だけ使ってみたい方は、レンタル・PoC相談からご相談ください。用途や台数が固まっていない段階でも受け付けています。


