結論

点検ロボットは「何を測るか」から選びます。測るものが決まればセンサーが決まり、センサーの重さと取り付け方から、可搬重量・稼働時間・二次開発の要否が決まって、機種が絞れます。この記事では次の3つを判断できます。

  1. 自社の点検に要るセンサーと、それを載せられる機種
  2. 屋外・水濡れ・段差の条件に合う機種(防塵・防水の等級と階段の性能)
  3. PoC(試験導入)で何を測り、何を合格とするか

点検の種類とセンサーの考え方

点検の種類見るものセンサーの例
目視外観の傷み・漏れ・破損カメラ
計器の読み取り圧力計・温度計・バルブの開閉カメラと、画像から値を読むソフト
熱配管・モーター・盤の温度サーマルカメラ(温度を映すカメラ)
ガスガスの漏れガスセンサー
音モーターや回転機の異音マイク
形と出来形建物・現場の形と施工の進み具合3D スキャナー、LiDAR

図鑑の各機種が標準で載せているセンサーの記載は、LiDAR(レーザーで距離を測るセンサー)とカメラが中心です。これらは主に、ロボットが自分の位置を知り障害物を避けるために使います。点検の計測に使うセンサーは、標準の構成で足りるかを確かめ、足りなければ追加で載せます。そのとき次の2点を確認します。

  • 重さ: 載せる機材は可搬重量の範囲に収め、稼働時間が短くなる分を見込みます。たとえば A2 は、無負荷で5時間超、25kg 積載で3時間超とメーカーが公表しています。
  • データの流れ: 撮った映像や測った値を、自社の点検記録や設備管理のシステムに入れるなら、二次開発に対応した構成か、販売会社の支援が要ります。

機種の比較(図鑑の数値)

脚だけの機種

機種重さ歩行時の可搬稼働時間防塵・防水段差・階段二次開発
Go2約15kgAIR 約7kg/PRO・X・EDU 約8kgAIR・PRO・X 約1〜2時間/EDU 約2〜4時間公表なし乗り越え高さ AIR 約15cm・PRO 以上 約16cm対応(EDU が最も広い)
As2約20kgAIR 約10kg/PRO 約13kg/X・EDU 約15kgAIR 約2時間/PRO 以上 約4時間PRO・X・EDU IP54段差 AIR 20cm・PRO 以上 25cmX・EDU のみ
A2約42kg約25kg無負荷で5時間超A2 IP56/A2-PRO IP56〜IP67(主要部品は IP67)段差 30cm/登坂 約45°対応
B2約60kg40kg 超4〜6時間IP6720〜25cm の階段を連続昇降一部の機能は人の操作か二次開発が必要
Aliengo21.5kg ±1kg(バッテリー除く)13kg2.5〜4.6時間公表なし段差・斜面・階段の昇降に対応制御インターフェースあり

車輪付きの機種

機種重さ歩行時の可搬稼働時間・航続防塵・防水段差・階段
Go2-W約18kg約8kg(最大約12kg)1.5〜3時間公表なし乗り越え高さ 70cm 未満
As2-W約25kg約16kg無負荷で約3時間・約30kmIP54(X・EDU)段差 30cm
B2-W約85kg40kg 超40kg 積載で最大25km、無負荷で約30km(時間は公表なし)IP6720〜25cm の階段を連続昇降

価格をメーカーが公式に出しているのは Go2(AIR 1,600ドル・PRO 2,800ドル・X 4,500ドル、税・送料別)だけで、ほかは要問い合わせか表示なしの見積もりです。Aliengo は国内の販売会社での取り扱いが確認できていません。当サイトの図鑑に収録している四足歩行ロボットは2026年10月時点で Unitree 製だけなので、他社の機種と比べるときも、上の表と同じ項目で見積もりを並べてください。

現場別の目安

  • プラント・屋外のインフラ: 雨・粉じん・階段がある現場では、IP67 の B2 や、主要部品が IP67 の A2-PRO が候補です。長い通路の多い施設では、車輪付きの B2-W が効率よく回れます(点検の業界ページ)。
  • 建設現場: 不整地や仮設の階段が多いため、脚だけの機種が基本です。平坦な区間が多ければ車輪付きも候補になります。進捗の撮影や 3D スキャナーを載せた出来形の計測に使います(建設・土木の業界ページ)。
  • 建物(建築・施設管理): 各階を階段で回り、機械室・電気室や設備を記録します。屋内の乾いた環境なら、IP 等級が公表されていない Go2 も候補に入ります(建築の業界ページ)。

防塵防水と段差で確かめること

  • 等級がどこにかかるか: A2-PRO のように「主要部品が IP67」という書き方もあります。機体全体か一部の部品かを確かめます。
  • 公式ページの食い違い: A2 の LiDAR の数、As2 の段差の数値(50cm と 25cm)など、公式ページの中で記載が食い違う箇所があると図鑑で注記しています。構成と数値は見積もりで確定させます。
  • 床と階段: 段の高さ、格子状の床、濡れた鉄板、油のある床は、デモで実際に歩かせて確かめます。
  • 防爆: 図鑑の機種には防爆に対応するという記載がありません。可燃性のガスや粉じんが出るおそれのある区域は、確認が取れるまで計画に入れません。
  • 重さ: B2 は約60kg、B2-W は約85kg です。床の耐荷重と搬入経路、人の近くで動かすときの安全対策を先に決めます。

PoC の設計

  1. 経路と点検項目を絞ります。 最初は1本の経路と、毎日人が見ている項目から選びます。
  2. 測る項目と合格の基準を先に決めます。 計器の読み取りの正答率(人の記録と照合)、1周の時間、人の介入回数、稼働時間と充電の回数、記録が点検記録としてそのまま使えるか、の5つが基本です。
  3. 期間と体制を決めます。 3か月程度、現場の担当者1〜2名と技術者1名が一般的です(導入の8ステップ)。
  4. 安全とセキュリティを先に決めます。 ロボット専用のネットワークを用意し、ファームウェアを最新にします(セキュリティ・ガバナンスガイド)。
  5. 購入前に試す方法を考えます。 レンタルや PoC の相談を受け付けている販売会社もあります。

PoC が止まる典型は、合格の基準を後から決めることと、現場の点検員を巻き込まないことです(PoC 止まりの5つの型)。

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自社の点検にどの機種が合うかは、3分の導入適性診断で整理できます。点検項目と現場の条件が決まっていれば、レンタル・PoC 相談から試験導入の進め方を相談してください。