結論
2026年10月16日時点で、日本の企業が国内の販売会社を通じて注文・見積もり依頼できるヒューマノイド(人型ロボット)は、確認できた範囲では中国メーカーの製品が中心です。
- 価格を公表している機種は一部だけです。 メーカー公式サイトの表示は、Unitree(ユニツリー)R1 が4,900ドルから、G1 が13,500ドルから、H2 が29,900ドルです(いずれも税・送料別)。日本円の税込価格が出ていたのは、確認できた範囲では Booster Robotics(ブースター・ロボティクス)K1 の155万5,400円〜314万8,200円(販売店スイッチサイエンスの表示)だけでした。
- 「〜から」の価格は、多くが自社でプログラムを書けない標準モデルの価格です。 研究開発や業務への組み込みに使う開発者向けモデル(EDU版など)は、ほとんどが「要問い合わせ」です。
- 工場・物流向けをうたう機種は、本体価格を公表していません。 たとえば UBTECH(ユービーテック)の Walker S2 は、日本の正規代理店が「本体価格、PoC費用、保守費用は非公開」としています(PoC=本格導入の前に現場で試す試験導入)。
- 欧米で話題の機種(Tesla Optimus、Boston Dynamics Atlas、Figure など)は、日本企業が注文できる窓口を確認できませんでした。
- 日本製では、カワダロボティクスの双腕ロボット NEXTAGE(ネクステージ)を国内の販売代理店から購入できます。
購入の流れは、用途と開発体制を決める、販売会社に相談してデモを見る、構成を決めて見積もりを取る、電波法・安全・保守を確認する、発注する、の順です。取り寄せで2〜3か月ほどかかると表示している販売店が複数あります。
この記事で「今買える」とした基準
- 国内の販売会社が取り扱いや販売受付を公表している機種を「今買える」としました。海外の公式オンラインストアで価格を出している機種は、別の見出しで紹介します。
- 価格は、メーカーか販売会社自身のページに出ているものだけを載せています。報道やまとめサイトに出ている価格は載せていません。
- 情報は2026年10月16日に各社のページで確認したものです。価格と取り扱いは変わるので、最新の条件は各社に確認してください。
なお、当サイトは Unitree 製品の導入相談を受け付けています。この記事では、他社の製品も同じ基準(公開されている情報の有無)で扱っています。
一覧:日本で注文・見積もりができる主なヒューマノイド
| メーカー・機種 | 公表価格 | 国内の主な窓口 |
|---|---|---|
| Unitree R1 | 4,900ドル〜(R1 AIR、税・送料別) | GMO AI&ロボティクス商事、TechShare、Tohasen Robotics |
| Unitree G1 | 13,500ドル〜(標準モデル、税・送料別) | GMO AI&ロボティクス商事、TechShare、Tohasen Robotics |
| Unitree G1+ | 15,000ドル(標準モデル、税・送料別) | GMO AI&ロボティクス商事(先行予約) |
| Unitree H2 | 29,900ドル(標準モデル、税・送料別) | GMO AI&ロボティクス商事、Tohasen Robotics |
| Unitree H2 Plus/H2-D | 非公開 | GMO AI&ロボティクス商事 |
| Booster K1 | 155万5,400円〜314万8,200円(税込) | スイッチサイエンス、Tohasen Robotics |
| Booster T1/T2 | 非公開 | Tohasen Robotics |
| UBTECH Walker S2/Walker C1 など | 非公開(個別見積もり) | GA Robotics |
| LimX Dynamics Oli | 非公開 | ロボットバンク |
| カワダロボティクス NEXTAGE | 非公開 | THKインテックス |
ドル建ての価格は、メーカー公式サイトの表示です。日本の販売会社から買う場合の円建ての金額は、各社の見積もりで決まります。Unitree 製品を扱う3社は、いずれも円建ての価格を公開していませんでした。
メーカー別のポイント
Unitree(中国):公式サイトでドル建ての価格を出している
Unitree は、公式サイトで一部の機種の価格を米ドルで出しています。下の表の価格は税・送料別で、身長・重さ・稼働時間はいずれもメーカー公表の目安です。「自由度」は関節を動かせる軸の数で、幅がある機種は、開発者向けモデルにハンドなどを付けたときの上限まで含みます。「—」は公表されていない項目です。
| 機種 | 身長・重さ | 自由度 | 稼働時間 | 公式価格 |
|---|---|---|---|---|
| R1 | 123cm・27〜29kg | 20〜40 | 1時間 | 4,900ドル〜 |
| G1 | 132cm・35kg | 23〜43 | 2時間 | 13,500ドル〜 |
| G1+ | 134cm・35kg | 25〜45 | 2時間 | 15,000ドル |
| H2 | 182cm・70kg | 31 | 3時間 | 29,900ドル |
| H1-2 | 178cm・70kg | 27 | — | — |
価格を見るときは、次の3点に注意してください。
- 安いほうの価格は、自社でプログラムを書けないモデルの価格です。 公式の仕様表では、標準モデルは「Secondary Development」(二次開発=自社でプログラムを書いて動きを作ること)の欄が空欄で、対応しているのは EDU 版だけです。EDU 版の価格は「Contact sales」(要問い合わせ)になっています。公式ショップの G1 のページにも、二次開発に対応していないと明記されています。
- 保証期間がモデルで違います。 G1 は標準モデルが8か月、EDU 版が18か月です。H2 は標準モデルが8か月、EDU 版が12か月です。
- 送料と関税は別にかかります。 公式ショップの G1 のページは、送料を300〜1,200ドルとし、関税・税・輸入手続きは購入者の負担と案内しています。
H2 Plus、H2-D(台車に上半身と2本の腕を載せた双腕型)、H1/H1-2 は、製品ページに価格が出ていません。H2-D について、Unitree は産業作業・商業サービス・研究開発などを用途に挙げています。
国内では、次の3社が Unitree のヒューマノイドを扱っています(社名のアルファベット順)。
- GMO AI&ロボティクス商事: 2026年6月19日に、Unitree と国内正規代理店契約を結んだと発表しました。8月31日に H2 Plus・H2-D の販売受付を、10月13日に G1+ の先行予約受付を始めています。価格と納期は「個別にご案内」としており、レンタル・リースでの提供も案内しています。
- TechShare: 2020年から Unitree の国内正規代理店を務めている、と2026年9月14日の発表文で説明しています。同じ発表文で、教育機関向けは同社が独占販売権を持つとしています。公式サイトは見積もり依頼の受付で、H2 などは先行予約販売の準備中と表示しています。
- Tohasen Robotics: 自社の通販サイトで「Unitree開発パートナー」と名乗り、H2・R1・G1 などを「価格はお問い合わせください」として載せています。H2 と R1 の納期は約2〜3か月と表示しています。
GMO AI&ロボティクス商事と TechShare は、2026年9月14日に資本業務提携を発表しています。
Booster Robotics(中国):円の税込価格がわかる小型機
K1 は身長約95cm・重さ約19.5kg・自由度22の小型機です。スイッチサイエンスが2026年4月16日に取り扱いを始め、現在は3モデルを税込価格で販売しています。
| モデル | 価格(税込) | 二次開発のメーカーサポート | メーカー保証 |
|---|---|---|---|
| K1 Geek | 155万5,400円 | なし | 3か月 |
| K1 Edu | 237万500円 | あり | 1年 |
| K1 Pro | 314万8,200円 | あり | 1年 |
3モデルとも取り寄せ品で、ページには「納期は通常2~3ヶ月ほど」とあります。スイッチサイエンスは、日本の電気用品安全法に準拠したACアダプターとバッテリーを同梱すると説明しています。メーカー公表の稼働時間は、Edu と Pro で約1時間10分(秒速1.1mで歩いた場合)です。
価格は変わることがあります。K1 Pro は、取り扱い開始を知らせた2026年4月16日の発表では274万8,900円(税込)でした。
上位機の T2 は、身長約140cm・重さ約42kg・自由度31で、連続歩行2時間とメーカーが公表しています。T1・T2・K1 は、2025年11月3日に Booster Robotics との正規代理店契約を発表した Tohasen Robotics でも扱っています(価格は問い合わせ)。T2 は「2026年10月中旬以降 初回入荷予定」と表示されています。Booster の製品は、研究・教育や RoboCup(ロボットのサッカー競技会)向けとして紹介されています。
UBTECH(中国):工場・物流向けは個別見積もり
UBTECH の日本正規代理店は GA Robotics です。2025年5月12日に代理店契約を結び、2026年6月30日に Walker Tienkung DEX(研究開発向け)、Walker C1(受付・案内など向け)、Cruzr Y1(製造・物流向けの車輪型)の国内提供を始めました。
- Walker S2: 身長176cm・重さ70kg・全身52自由度で、製造・物流向けの機種です。バッテリーを自分で約3分で交換できます。GA Robotics は「本体価格、PoC費用、保守費用は非公開で、すべて個別見積もり」としています。保守は「365日日本全国のオンサイト対応」と案内しています。
- Walker C1: 身長164cm・重さ55kgで、受付・案内・接客などのサービス現場向けの機種です。
LimX Dynamics(中国):Oli はロボットバンクが扱う
ロボットバンクが、2026年5月15日に LimX Dynamics の Oli などの国内展開を始めました。Oli の最も基本的な構成(Lite)は、身長165cm・重さ55kg以下・自由度31・稼働約2時間です。価格は公表されていません。
カワダロボティクス(日本):双腕型の NEXTAGE
NEXTAGE は脚のない上半身型の双腕ロボットで、2本の腕と画像認識の仕組みを使って組み立てや梱包をこなします。関節の軸は15あります。カワダロボティクスは NEXTAGE と NEXTAGE Fillie の2タイプを販売しており、国内の販売代理店は THKインテックスです。
カワダロボティクスは「80W以下の低出力モーターで構成されているため、適切なリスクアセスメントを実施すれば安全柵を設置する必要なく、人と協働することが可能」と説明しています(安全柵の決まりは、下の「導入前に確認したい3つのこと」で説明します)。価格は公表されていません。
このほか、DOBOT(中国)の日本法人 DOBOT JAPAN が、日本語の製品ページで ATOM(上半身28自由度)を紹介しています。価格と購入条件は問い合わせです。
海外の公式ストアで価格が出ている機種:AgiBot
AgiBot(中国)は、公式オンラインストアで米ドルの価格を出しています。国内の販売会社は確認できませんでした。
- X2 Neo: 25,600ドル。身長約1.31m・重さ約35kg・自由度30で、秒速0.5mで歩いて約2時間稼働します。パフォーマンスや人との対話向けの小型機です。
- A2 Lite: 44,560ドル。身長169cm・重さ約63kgで、歩行時の稼働時間は1.5時間です。エンターテインメント・商業パフォーマンス向けとされています。
A2 Lite のページは、送料を500〜3,000ドルとし、関税・税・輸入手続きの費用は購入者の負担としています。国ごとの配送の可否は、営業窓口に確認するよう案内しています。
日本ではまだ買えない主なヒューマノイド
欧米メーカーの機種で、日本企業が注文できる窓口を公式に案内しているものは見つかりませんでした。各社の公式発表は次のとおりです。
| 機種 | 公式発表の内容 |
|---|---|
| Tesla Optimus | 2026年4〜6月期の報告で、生産開始は年内の見込み。最初の機体は社内でのデータ収集と開発に使う |
| Boston Dynamics Atlas | 2026年の出荷先は Hyundai と Google DeepMind ですべて埋まっている。追加の顧客は2027年初めから |
| Agility Robotics Digit 5 | 先行提供は2027年前半、一般提供は2027年末までの見込み。北米以外では EU と英国から始める |
| 1X NEO | 家庭向け。2万ドル(または月額499ドル)で注文を受け付けている。出荷は米国で2026年に始まる |
| Figure 03 | 公式サイトに価格と注文窓口の掲載がない |
価格の見方:本体価格のほかにかかるもの
見積もりを比べるときは、本体価格だけでなく、次の5つを確認してください。
- 税・送料・関税: Unitree の公式価格は税と送料を含みません。海外から直接買う場合は、関税と輸入手続きも購入者の負担です。国内の販売会社から買う場合は、円建ての見積もりにどこまで含まれるかを確認します。
- 開発できるモデルか: 自社で動きをプログラムするなら、二次開発に対応したモデルが必要です。標準モデルとは価格が大きく違うことがあります。
- 保証期間: Unitree G1 は8か月と18か月、Booster K1 は3か月と1年のように、同じ機種でもモデルによって違います。
- PoC・保守の費用: 工場・物流向けの機種は、PoC と保守を含めて見積もる例があります(UBTECH Walker S2 など)。
- 価格の改定: Booster K1 Pro のように、半年で価格が変わった例があります。見積もりの有効期限も確認しましょう。
購入までの手順
- 目的を決める: 研究開発、受付・展示、現場作業の検証のどれに使うかを決めます。あわせて、社内にプログラムを書ける人がいるかを確認します。
- 販売会社に相談し、デモを見る: 実機の動きや、作業の速さ・持てる重さを確認します。
- 構成と台数を決めて見積もりを取る: 標準モデルか開発者向けモデルか、ハンドや計算機などのオプションを決めます。同じメーカーを複数の販売会社が扱っている場合は、比べて選べます。
- 電波法・安全・保守を確認する: 詳しくは次の見出しで説明します。
- 発注・納品: 取り寄せで2〜3か月ほどかかると表示している販売店が複数あります。
- 初期設定・操作の習得・試験導入: 本格導入の前に、実際の現場で PoC を行う方法もあります。
買う前に試したい場合は、レンタルや PoC の相談を受け付けている販売会社もあります。たとえば GMO AI&ロボティクス商事はレンタル・リースを、GA Robotics は PoC を案内しています。
導入前に確認したい3つのこと
1. 電波法の認証(技適)
Wi-Fi や Bluetooth を使う機器は、技適マーク(電波法の技術基準に合っていることを示すマーク)が付いていれば、免許なしで使えます。総務省は、技適マークが付いていない無線機を使うと電波法違反になる場合があり、違反すると1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になると注意しています。
2026年10月16日に総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」で確認したところ、Unitree の G1、R1 系(R1 AIR・R1・R1 EDU)、H2 系(H2・H2 EDU・H2 PLUS)、G1-D は認証の登録がありました。スイッチサイエンスも、Booster K1 の Wi-Fi・Bluetooth を「工事設計認証済み」と表示しています。ほかの機種は、本体に入っている無線部品が単体で認証を受けている場合もあるため、販売会社に確認してください。
技適のない機器を試せる「特例制度」もありますが、対象は180日以内の実験・試験・調査に限られ、同じ目的・規格での届出は1回だけです。業務で継続して使う用途には向きません。
2. 労働安全(人と同じ場所で動かす場合)
労働安全衛生規則の第150条の4は、産業用ロボットに触れて危険が生じるおそれがあるとき、柵や囲いを設けるよう事業者に求めています。厚生労働省は、この対象を定格出力80W超の産業用ロボットと説明しています。あわせて、リスクアセスメント(危険の洗い出しと評価)で危険のおそれがなくなったと評価できれば、人との協働作業ができるとしています。
ヒューマノイドがこの「産業用ロボット」に当たるかは、機種と使い方によって変わります。工場や倉庫で人の近くで動かす場合は、販売会社と所轄の労働基準監督署に確認してください。
3. 補助金
ヒューマノイドの購入を補助対象と明記した国の補助金のページは、見つかりませんでした。
中小企業省力化投資補助金の一般型は、「IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある」設備の導入費用の一部を補助する制度です。使えるかどうかは事業計画しだいなので、公募要領で確認してください。製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」の製品カテゴリ(2026年10月8日版)には、配膳ロボットや清掃ロボットはありますが、ヒューマノイドの区分はありませんでした。
相談先を選ぶときのポイント
同じメーカーの機種を、複数の販売会社が扱っていることがあります。Unitree なら3社、Booster なら2社です。見積もりを取るときは、次の点を比べると違いが分かります。
- 見積もりに、本体・送料・関税・保守のどこまでが含まれるか
- 保証期間と、故障したときの修理の窓口・拠点
- 購入前にデモや実機見学ができるか
- 自社でプログラムを書く場合に、開発の支援や受託開発を頼めるか


